この世界にきみさえいれば、それでよかった。
私はいつものように洗濯物を畳んだり部屋の掃除をしながら、ポストに入っていたタウンワークを見つめる。
ヒロがバイト三昧なのは今に始まったことじゃないけど、最近は少しシフトを詰めすぎなんじゃないかって思う。
生活費とか家賃とか、そこら辺の事情はあまり詳しく知らないけど、もしヒロが誰にも頼らずにすべてを払っているのならお金が大変なのかもしれない。
でもたしか美幸さんは、ヒロがバイトで稼いだお金はほとんど実家に仕送りしてると言っていた気がする。
そこまでしてヒロが頑張る理由はなんなんだろう。
知っているようで、私はヒロのことはなにも知らないのだ。
なにか助けになれればと私も求人情報に目を通しながら、あっという間に時刻は夕方になってしまった。