この世界にきみさえいれば、それでよかった。
入学したての頃はみんな浮き足だっていたけれど、それは1か月ほど過ぎる頃にはなくなった。
テレビでよくいじめがどうのってニュースをやっているけれど、うちの学校は特に問題はない。
クラスメイトはみんな仲がいいし、カレンダーが7月になってからは夏休みの計画を色々立てているのを耳にする。
もうすぐ一学期が終わろうとしているのに、浮いたままなのは私だけ。
どうやら私はものすごく〝とっつきにくい性格〟をしてるらしい。
話しかけられても無愛想そうだし、返事も一言二言返すだけ。
その上、季節関係なくパーカーを着て、体育の授業もいつだって長袖のジャージ。
協調性のない私に最初は先生も口うるさく言ってきたけど、最近は見放したようになにも言わなくなった。
クラスメイトたちもまるで私を空気のように扱うし、こうして授業をサボっても誰も気にすることはない。
ひとりは楽だし、友達も必要ないし、なにより私は誰かを信じるという心をなくしてしまった。
――『お前なんて、いらない』
そう言われたあの日の言葉が頭の奥で響いている。
どんなにイヤホンのボリュームを上げても、その声だけは消えてはくれない。