この世界にきみさえいれば、それでよかった。
Episode:4 きみとの距離
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次の日。私はヒロのベッドで目を覚ました。
昨日はあのあとお風呂と寝る用のスウェットまで貸してもらってしまった。
サイズの大きいヒロのスウェットは袖を捲ってもブカブカで、やっぱりヒロの匂いが濃い。
「まだ寝ててもよかったのに」
ヒロが洗面所から出てきて、すでに部屋着から私服に着替えていた。
……図々しく泊めてもらったんだからヒロよりは早起きしようと思ってたのにな。
「昨日、身体大丈夫だった?」
ヒロは昨晩ソファーで寝た。もちろん私は床でもどこでもいいって言ったんだけど、『お前はベッドで寝ろ』とヒロに押しきられてしまったのだ。
ヒロは身体が大きいし、絶対ソファーでは寝苦しかったはず。
「平気だよ。俺3秒あれば寝れるし」
たしかにヒロの寝落ちは早かった。
こっちはお風呂から上がったあとも気恥ずかしさが残っていて、適当にテレビでも見てていいよと言われ、ヒロがお風呂に入ってる間、リモコンだけは握りしめていたけれど、よく分からない政治のニュースをぼんやりと眺めてしまったぐらい。
ヒロは10分ほどでお風呂から出てきて、その濡れ髪にドキッとしたことは秘密。
それからヒロは髪の毛もろくに乾かさずにソファーへとダイブ。
風邪ひくよなんて注意をする暇もなく、ヒロは子どものようにそのまま眠ってしまった。