この世界にきみさえいれば、それでよかった。



ヒロの家に戻る途中で、私はスーパーに寄った。緑色のカゴを持って卵とハムとケチャップを入れる。ついでに取り忘れたアメニティグッズも買った。

よいしょっと、と肩にボストンバッグをかけて、右手でビニール袋を持つ。


……そういえば、ヒロが帰ってくる時間を聞き忘れた。


前に朝方までバイトをしていたヒロに遭遇したことがあるし、そもそも今日は帰ってくるんだろうか。

そんなことさえ知らないのに、私はヒロの家に向かっている。


そのあと家に着いた私は買ってきた食材を冷蔵庫へと入れた。

ここに置かせてもらうんだからせめて料理ぐらいはと、買ってきたけれど、私が作れそうなものといえば簡単なオムライスやチャーハンぐらいしか思いつかない。


絶対にヒロが作ったほうが美味しいし間違いはないことは分かってるけど、本当にペットみたいに帰りを待ってるだけじゃイヤだから。


ヒロが帰ってくる前に練習と思ってチャーハンを作ってみたけど、味が薄い上にご飯がべちゃべちゃ。

次こそはとハムを炒めたら何故か焦がしてしまって失敗。

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