その先へ
序章
いつからだろう。


『結婚』という二文字が私を縛り付けるようになったのは。


28歳という年齢。
周りの友人は次々と幸せを掴み、毎年届く年賀状にはキラキラしたドレス姿や、可愛らしい笑顔の子どもの写真が増えてきた。


たまに田舎に帰省すると、親は何も言わないが、世話好きな親戚や近所のおばさんが、『まだなの?』『結婚する気があるの?』『早く子どもうまなきゃ』なんて急かしてくる。



そんなの。



そんなの、私が一番思ってる!



って言い返すこともできなくて苦笑いしてごまかすけど。



私が一番考えて考えて、悩んで、悩んでるんだ。



まだなの?
結婚する気があるの?


って、毎日毎日、考えたくなくても、考えてしまうんだ。


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