その先へ
「ホント、家事何もできなくてね。でもそのうち慣れるよ。なんて言ってたんだけど、全然で。やる気あんの?って思わず言っちゃったら出ていっちゃった。連絡しても、一人で大変さを味わって!って。いや、オレ普通に一人暮らししてたから慣れてるんだけどね。アイツはずっと実家暮らしだったから」
「急に全部一人では大変ですよね。お手伝いしなかったんですか?」


そう聞くと熊さんは頭をかいて


「忙しくてね。んで帰って散らかってる部屋見たら、ドカーンって爆発しちゃってさ」


どこも同じ。私達の年代になると責任ある立場について仕事中心になる。奏斗もそうだし、私だって、それなりの仕事を任されているもの。


「だから言っただろ。結婚なんて止めとけって」


奏斗の言葉にテーブルの水滴を拭いていた手が止まった。
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