その先へ
冷たい声が出た。無機質で感情のない声。
私ってこんな声でるんだ。


「円香?」


奏斗も初めて聞いた私の声に戸惑っているのがわかる。


「何で、奏斗が嬉しいの?」
「何でって、それは自分の彼女誉められたら、って、円香?どうした?」


持っていた缶ビールを置いて私に伸ばしてきた手を振り払った。
奏斗が目を見開き私を見ている。


「彼女。私はただの彼女なんだね。たまたま7年いただけで、奏斗の歴代の彼女と一緒。同等なレベル。何も変わらない」
「なに言ってんだよ。何が言いたいんだよ」


奏斗がイライラしてきているのがわかる。でも止まらない。止めることができない。


「...結婚、する気、本当にないの?」
「...円香?」
「奏斗に、結婚する気がなければ私はどうするの?私をどうするつもりなの?」


まくし立てる私に奏斗は冷めた表情で


「...今さら何言ってんだよ。オレ言ってあったよな?結婚に夢も希望ももってないって。する気もないって。それ知ってただろ?知っててオレと付き合ったんじゃないのかよ!」
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