その先へ
諦観
眠れないまま朝を迎えた。


悲しいのか、悔しいのか、怒りなのか、虚しさなのか。
多分全部なんだろう。
全部がごちゃごちゃに絡まりあったのが今の私の感情で、涙は一晩で出しつくした。


「...おはよ...」


寝室から気まずい顔をした奏斗がでてきた。
いつもなら私がソファーにいれば隣に座るのに今朝はドアの前で立ち止まったままだ。


「...円香」
「......」
「昨夜は、悪かった...言い過ぎた、ごめん」


何回も、何十回もケンカした。
泣きながら、背中を向けたまま夜を過ごしても
こうやって奏斗が謝ってきてくれた。
私に原因があっても、ケンカしたのはお互い様だから、と言って。
だから私も素直に謝ることができた。
ケンカして仲直りしてもっと仲が深まって。
それは、奏斗だから。
奏斗とだから私達は7年も一緒にいれたのだ。


「私も、感情的になりすぎた。ごめん」


私も謝ると奏斗はホッとした顔をして、
あぁ、奏斗のこの顔、大好きだな、って思った。
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