その先へ
『先に女作ったのはあんたよ!私が悪いんじゃないわ!』


お互いに愛人がいること認める発言に呆れてしまう。


今さら両親に愛人がいるなんてことに傷つくなんてない。わかりきっていたことだ。
不可解なのは何故今まで離婚しなかったのか、てことだ。
こんなに冷めきって、いや、憎しみあっているのに。


『あのさ、どっちが先だとか関係なくね?』


罵りあう二人に話しかけるオレは冷静だったと思う。


『そんなにさ、お互いに嫌なのに、なんで夫婦なんかやってんの。さっさと別れればいいじゃん。意味わかんないだけど』


まさかここまで子どものオレを放っておいて、親でありたい、だなんて思っていないだろう。
もともと男と女だった二人に、子はかすがい、だなんて言葉は当てはまらない。


『別れてあげるわよ、慰謝料たっぷりくれるならね』
『だから、お前だって浮気してんだろ。慰謝料なんて払わないからな!』


あぁ、そう言うことね...



愛なんて、結婚なんて、全部まやかし物だ。


目の前で醜い争いをしている二人をみてオレは一生結婚なんかしない、って決めた。

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