その先へ
たくさん泣いた私のまぶたは当然のように腫れあがっていて、輝乃に『ヨーダみたい』だなんて指差して笑われた。

自分の顔をみて早々に、会社に休みの連絡をしてしまった。社会人としてどうかと思うが、そんな日があってもいいだろう。
開き直った私は、輝乃に1日出かけると告げ家を出た。

行き先は奏斗と暮らしていた部屋。
自分の荷物を片付けるためだ。
平日の金曜日なら奏斗はもちろん仕事だろう。
まだ奏斗に会う勇気はない。

あの日以来の住み慣れた部屋。あれからそんなに日はたっていないはずなのに、今までとは違っていた。

奏斗は綺麗好き、というわけではないが、それなりにきちんとした性格で、出したものは片付けるし、掃除も分担してやってくれていた。

でも入ったこの部屋は脱ぎ散らかしのワイシャツ、キッチンにはカップラーメンのゴミや、洗っていないカップ。

それらをみてまた涙がこぼれた。


< 40 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop