その先へ
「そんな顔で仕事やられたって周りが迷惑なんだよ。お前だって責任ある立場にいる。それくらいわかるだろ!」
「っ..」

何も言い返すことはできない。自分だって部下が調子悪い顔をしていたらそう言うだろう。

「上川さん、オレ、カッコ悪いっすね。女にフラれたくらいで、仕事にも集中できなくて迷惑かけて...」

本当に情けな過ぎて唇を咬んだ。

「カッコ悪くていいんじゃないか?」

先ほどとは違った優しい声が降り注ぐ。

「悩んでもがいてるのは、お前が今人生の大事なことを決断しようとしているからだ。そういう時はカッコ悪かろうがいいんだよ。その方が人間らしい」

にやっと笑った後、また真面目な顔にもどり、

「ただし、お前がそんなんだと仕事に影響がでるのも確かだ。だから、今日は帰って休め。で、週末の間にケジメつけてこい!...お前はもう自分がどうしたいか、自分でわかっているはずだぞ?」


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