その先へ
上川さんに甘えてオレは会社を後にした。

オレはどうしたいか。

オレは円香を失いたくない。それだけははっきりとしている。でも円香はもう...。

寝不足の頭に浮かぶ考えは無限のループの様で。
一歩踏み出さなければ何も変わらないことはわかっているのに臆病風にふかれている。

でも、円香に会いたい...。

寝起きでボーッとしたままおはようという顔。
美味しいものを食べてる時の顔。
不意討ちのキスをすると、一瞬びっくりした後に照れた顔。
オレに抱かれてる時、オレを求める熱くて甘い顔。


円香に会いたい...。


そんなことを考えながらマンションについた。

休めと言われても円香のいないあの部屋に戻るのは嫌だ、と思いながら見上げると、ベランダに洗濯ものがなびいていた。





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