その先へ
座ったままの円香がオレを見上げる。

「オレは、オレは、まだ正直、結婚とか、にどんな価値があるのかよくわからない」

オレの言葉にまた円香がうつむく。

「でも!でも、円香と一緒にいたいんだよ。円香に隣にいて欲しいんだよ!」
「奏斗...?」
「よく、よくわかんないけど、でも!これだけは変わらないんだよ。オレは、オレのさいごの日まで、円香と一緒にいたいんだよ。さいごの一瞬は円香の顔をみていたいんだよ!」

円香が瞬きもせずオレをみている。
オレの頬も濡れているのがわかる。だけどそれを拭うこともせず円香を見つめる。

みっともなくても情けなくてもいい。そう思ったのは初めてで、そんなことよりも円香を失いたくない、その気持ちの方が強いんだ。

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