その先へ
「ただいま~、おかえり~」
「なんだそれ」
「私が帰ってきたからただいま。奏斗が帰ってきたからおかえり」
「なるほど。じゃ、オレも、ただいま。円香、おかえり」

笑いながら部屋に入り買ってきたものを冷蔵庫や食品棚にしまう。

こんな些細な会話がずっと続けばいい。そう願いながら。

コーヒーをいれ、一息つく。

「ふぅ。美味し。ねぇ、奏斗。赤ちゃん可愛かったね」
「そうだな。あんな小さいのにちゃんと生きてる。すごいよなぁ」
「ホントだね。すごいよね」
「なぁ、円香」
「ん?」

コーヒーを飲みながら答えと真剣な眼差しの奏斗がこちらを見ていた。

「奏斗?どしたの?」
「円香。...結婚、しよう」


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