ある日突然!?
月詠屋敷の敷地の玄関前に着地し、インターホンを押す。



すると、慌てた様子ですぐに律が出てきた。



勿論ウィッグの前髪は下ろしてるし、後ろ髪は一応緩く結ってあるが、

眼鏡もしてるし昨日と何ら代わりない。



「えっ雪香さん!?」



思ってた以上のリアクションだったが、とにかく声音を低くして言う。



「おはようございます。いきなりですが、僕の事はさん付けしなくて結構ですよ」



「えっ……、じゃあ、雪…香?」



首をコテンとさせてこちらを見た律。



……本当に敵意の欠片もないな。



「さん付けじゃなければ構いません。では、そろそろ時間でしょうから行きましょうか」



「うっ、うん」



あと今気付いたが、この制服の内ポケットには懐中時計が入っていた。



まるで英国の執事みたいだな。なんて思いながら踵を返すと、遠くに驚きを露にする青龍達が。



フフっ、その顔が見たかった。



何せ待ちくたびれて置いてきたはずの奴が、自分達よりも先に律の隣に居たんだからな。



………あっ、そうだ。



「律様、本日は何が何でも隣に居りますので」



「えっ、今日だけ?」



……ん?


予想した反応と全然違うんだが。



だって、何が何でも隣に居るなんて言われたら普通引くとか、嫌がるとかするかと。



それが何だ、今日だけ?って。



「……僕さ、もう皆を止めれる自信が無いんだ。だから、僕の側で青龍が雪路に手出ししようとしたら止めてくれない?」

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