ある日突然!?
………ん、ん?



どうやら私は眠っていたらしい。



辺りを見ながら、まだ律が目覚めていない事が分かった。



時間は……、7時前か。



月詠家の夕食は7時から。



つまりそろそろキッチンに律の夕食を取りに行かないといけない……。



ースリスリ

「スー、スー」



どうするか。

どうせすぐ夕食なら起こして行くか……。



ーガチャ



ん?



扉が開いたので見てみれば、

緩い花柄のワンピースに身を包んだワゴンを押した母の姿があった。



「あらまぁ………」



口元を両手でハの字に覆い、目元をうっとりさせた母。



「夕食、持ってきたのだけど………」



どうするか。



やはりそろそろ水分補給や寝間着として着ているシャツの交換、

氷枕の換えやらをした方が良いだろうか………。



「雪香、出来たらご奉仕だけじゃなくて服とかも換えたりの看病もしてあげるのよ?」



水の入った2リットルペットボトルを2本、りんごを小型の冷蔵庫に入れ、

氷水の入った桶と、何か籠を私の退けたテーブルの上に置いた母。



「あら?」



不思議そうな声に母の顔を見ようと顔だけ向ける。



どうにも律に腰と背中を抱き締められて身体が動かせないのだ。



「雪香から律君に抱き着いたんじゃないのね」



「母さん、それは私が寝てる律を襲うとでも?」



「だって、ズボンまで脱がせてたじゃない」



「………楽にさせようとしただけだ。他意は無い」



「そう?じゃあ、私はそろそろ戻るわね」



そう言い部屋を出た母の背中を見ながら、私はまだ律の熱が高いのに気付いた。


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