ある日突然!?
「歩、確かに雪香は青龍の下っ端には認められてないよ。だから端から見たら青龍の部外者も同然だ」



横から瑠樹が言う。



当然華月の5人の視線がこちらに向く。

正確には律から瑠樹を見る。



「中には陰口なんて言ってる奴も居るけど、それでもね?

僕達幹部5人には認められてる。青龍の一員として、勝手にね。

だから、青龍は動かなくても僕達は動くよ。最悪ね」



ーー「っ!?」



あぁ、圧の正体は瑠樹か。



真横で殺気放たれてたら圧を感じても不思議魔じゃないか。



……だがそれでも、律から圧を感じなかったとは言えないんだよな。



そんな事を思いながら、華月が可哀想に見えてきた。



煽った私への仕返しか、第一印象が最悪だった為に本当に嫌われた為の嫌悪からか、

とにかくそんな私的な理由で向けた言葉で律と瑠樹に睨まれたんだから。



沈黙の中、律と瑠樹はまだ華月に殺気を向け、向けられた華月は固まっている。



「喧嘩売ってるのは律も瑠樹も同じですよ」



ーー「っ!?」



「「あっ」」



スッと圧が消え失せた。



華月の視線は驚愕一色で、その視線は私に向けられている。



「ゴメンね、歩。つい」



「僕もゴメン」



2人共無意識に殺気を放っていたかの様な態度だ。



「いや、良いんだよ。確かに、毒気が過ぎたし………」



呆気に取られた様子の華月の5人は、歩と共に探るような視線を私に向けてくる。



「悪かったよ。怖い思いさせて」



怖い思い?



歩の言葉に少し考え、納得した。



私が怖がっていたと思っているんだ、全員。



「いえ、気にしてませんので」



挑発や煽りはもう辞めよう。



煽ろうと思ったのと同様に、私は挑発を辞めることにしたのだった。

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