極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
悪夢は庶民の蕎麦屋から
「うーん……」
サラリーマンの町、新橋の駅から徒歩数分。
決してお洒落とは言えない庶民的な蕎麦屋のカウンターで、私は悩んでいた。
目の前にはほとんど空になったハイボールのグラスと、きつね蕎麦の半券。
もう一杯ハイボールが飲みたい。
いや、それだったら単品で海老天を追加──
「ちょっと柚希、聞いてるの?」
月末が近く、かなり寂しい財布の中身と相談していると、左隣から大学時代からの親友である玉田有香が顔を突き出してきた。
「聞いてる、聞いてる。社長の息子の話でしょ?」
「の、政略結婚よ」
「そうそう、政略結婚。聞いてるよ」
隣を向いてさも興味ありげに目を開いて相槌を打つと、有香は頬杖をついて、またうっとりと夢見る表情に戻った。
サラリーマンの町、新橋の駅から徒歩数分。
決してお洒落とは言えない庶民的な蕎麦屋のカウンターで、私は悩んでいた。
目の前にはほとんど空になったハイボールのグラスと、きつね蕎麦の半券。
もう一杯ハイボールが飲みたい。
いや、それだったら単品で海老天を追加──
「ちょっと柚希、聞いてるの?」
月末が近く、かなり寂しい財布の中身と相談していると、左隣から大学時代からの親友である玉田有香が顔を突き出してきた。
「聞いてる、聞いてる。社長の息子の話でしょ?」
「の、政略結婚よ」
「そうそう、政略結婚。聞いてるよ」
隣を向いてさも興味ありげに目を開いて相槌を打つと、有香は頬杖をついて、またうっとりと夢見る表情に戻った。