極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
恋愛に臆病になっているうちに周囲はどんどんスキルを上げ、取り残されていく。

二十七歳にもなってほとんど恋をしたことがないのは美徳ではなく、男性に引かれるだけだと思うと、余計にハードルが高くなる。
仕事で精一杯の日々に恋愛が入る余地もなかったし、恋愛して躓いた時、あの時のように仕事のバランスを崩すのも怖かった。


踵を返し、高梨さんのマンションへと帰りながら、ため息をついた。


本当は私だって仕事も恋も手にしたかった。
たった一人でいい、私をまるごと受け止めてくれる人がいれば、それだけでいいのに──。


「今日は車じゃないのか」


「わっ」


いきなり背後から声をかけられ、驚いて飛び上がった。


「痴漢じゃないぞ」


振り返ると、高梨さんがムッとした顔で立っていた。
今朝と昨日はまったく顔を見なかったから、二日ぶりだ。


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