極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
マンションは駅からほど近く、二人で歩く時間はすぐに終わった。
無言のままエレベーターに乗り込み十階のランプが灯るのを待っている時、私は高梨さんからお酒の匂いがすることに気づいた。


それだけならまだいい。
明らかに女性ものの、お洒落に疎い私でもそれとわかる有名ブランドの香水の香りも漂わせている。
香水の香りって、そう簡単に移るものではないだろう。


やっぱり私を隠れ蓑にして遊んでるんだ……。


とはいえ、彼を非難する筋合いはない。
私は彼に大変お世話になった末、痴漢から避難させてもらい、同棲における約束はすべて完璧に守ってもらっている。

互いのプライベートに一切関知しないという項目で守られた権利を、こうして彼は香水の匂いをまき散らしながら謳歌しているだけだ。



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