極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
でも、先日のスカート丈に関するいざこざは、結局謝る機会もないままうやむやになった。
彼はとっくに忘れただろう。

そうは思っても、私はにわかに緊張し始めた。


「あの、出張お疲れ様です」


「お疲れ様」


今だけはこの広すぎるリビングが恨めしい。
私が目指すキッチンはリビングの奥にあり、そこまで彼の視線に脚を晒して歩かねばならない。

注意を逸らそうと、必死に笑顔を作りながらそろそろとキッチンの方向に移動する。


「は、早かったですね。明日までの予定だったのに」


「ああ、悪いな。早く終わった」


上着を無造作にソファーに投げながら、高梨さんが意地の悪い笑みを浮かべた。
私に歓迎されていないことはわかっているらしい。



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