極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
「ケータリングは利用しないのか? 口に合わなければ業者を変えるけど」


背中越しに彼が言った。


「いえ、合わないんじゃないです。腰を痛めたとき、すごく美味しかったです」


もちろんケータリングは最高に美味しかった。
高級レストランのシェフが担当しているのだから当然だ。
でもその代わりお値段も最高級で、彼の負担とはいえ落ち着かない。


「疲れた時は遠慮なく使うといい」


気を落ちつけてまた食べ始めた私の背後で、コーヒーメーカーに水を入れる音がする。
その音からして、たぶん二人分。


意地悪な態度のくせに、この人は変に優しい時がある。
食事の準備をする私をいじっていたのも、私の食後になるようにコーヒーを作るタイミングをずらしていたのかもしれない。



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