極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
「じゃあ経営学は独学で?」


「まさか。それは大学院で学んだ。文系から理系転向で院に進むより、理系から文系転向の方が無理がない」


「なるほど」


「偉そうなこと言ってても、楽な道を選んでるよ」


私がふふ、と笑うと、再び正面に腰を下ろした彼も軽く笑った。


ほんのりと和んだ空気にコーヒーメーカーから響くコポコポという音が重なった。
キッチンにコーヒーの香りが立ち始める。


まるで接点がないはずの私たちがこうして喋っていることがとても不思議に思えた。

いつかこの縁は切れるのだから、あまり近づいてはいけないと思うのに、最初のイメージとは違う部分を見てしまうと、背中を向けて避け続けることができなくなってしまう。

それがどこか心許なかった。




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