極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
「……美味い。意外と」


固唾を飲んで反応を見守っている私に、高梨さんはもう一度繰り返した。


「何の味付け? 美味い」


「ショウガとニンニクと塩コショウです。あと、お醤油も少し」


あながちお世辞ではなかったらしく、私が説明している間に彼は完食してしまった。
調子に乗って、ピクルスの小皿も彼に勧めた。


「これもいける。意外と」


「いちいち〝意外と〟ってつけるのやめてください」


保存容器から自分の分を足し、まだまだ食べそうな高梨さんにもつぎ分ける。


「いつ料理してるんだ? いつも帰りは遅いだろう」


「土日にまとめて作ります」


今までは会話も気を使ってしまって、なるべく顔を合わせないようにしてきた。

だから土日に彼が外出していくと、私は張り切って活動し始める。
簡素なワンルームの設備と違い、雑誌に出てくるようなお洒落なキッチンでお料理するのは楽しかった。

おまけに冷蔵庫も超大型で、しかも中身はビールとミネラルウォーター以外ほとんど入っておらず、入れ放題なのも私が張り切る原因だ。



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