極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
「料理好きなんだな」


「いえ、そんないいものではなくて、実家が野菜を作ってる農家なんです。いわゆる兼業農家で」


最近では輸入野菜だけでなく、冷凍野菜の普及で遠方のブランド産地のものが当たり前に手に入るようになった。
そんな時代の波には勝てず、父は別の仕事にも就いている。
農業だけで一家を支えていくのは不安定だ。


「うちが作っているものだけでなく、農協の仲間から色んな野菜が回ってくるので、野菜には不自由しませんでした。逆に出荷できない規格外の野菜をどう食べきるかが大変で。だからお洒落なお料理は全然できなくて、こういうお惣菜ばっかりです」


なぜ私は別世界の住人であるこの人に、こんなことまで喋っているのだろう。


「美味いよ」


泥臭い話なのに、意外にも高梨さんは付き合ってくれている。



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