極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
「二件も借りたのか」


「私立の理科系の学費は高いんです。うち妹三人もいるし!」


「わかった、わかった」


彼の非難するような口調に私が鼻を膨らませると、高梨さんは笑って手を振った。


「その奨学金二件と、あとは?」


それでも追及を続けてくるのは、給与が妥当な水準かどうかを確かめたいのか、家計診断なのかわからないけれど、なぜか私は彼の尋問に弱いらしい。


「実家への仕送りです。奨学金を取っても、妹が三人もいるのに四年間の生活費とか負担かけたので……」


「奨学金と仕送りで、総額は?」


「えーと……七万です。大した額じゃないと言われたらそうですけど……」


あまり突っ込まれたくない話題に、私はもごもごと口ごもりながら答えた。


「そこに家賃と食費光熱費か」


「あと貯金。あ、でもほんのポッチリです」


無駄遣いしていませんと主張したいあまり、余計なことまで報告してしまった。


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