極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
「あと、病気とかになるかもしれないじゃないですか。非常時の備えです」


「偉いな」


彼が笑いながら立ち上がった。


「全部自力で頑張ってるんだな」


私の横を通り過ぎる手が、優しく頭を撫でていった。


「コーヒー飲むだろ?」


「……」


彼にとって、今の仕草は何でもないことだったのだろう。

でも私の呼吸は止まっていた。
一瞬で離れた彼の手の感触が焼け付くように残っている。

なのに、背後からの声は悔しいぐらい平然としていた。

頭を撫でられた程度でこんなに動揺して、寄り掛かりたくなってしまうなんて。
男性に免疫のない自分の低い経験値が悔しい。

口でどんなに強がっても、私は彼に全然敵わない。



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