極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
「なのに、お食事会で高梨さんに縁談を断られたのよ、みんなの前で」


彼女は突如カップをテーブルに置き、顔を上げて私を睨み付けた。


「お食事会?」


お見合いではなく、もうお食事会で会っているなんて聞いていない。


「少し前です。一か月ほど前よ」


そう言われて思い出したのは、有香と蕎麦屋で会った後、お酒と香水の匂いをさせた高梨さんと帰りが一緒になったことだった。
あの時の高梨さんはやたらに疲れた様子で不機嫌だったっけ。

そこで私はもう一つのことに気づき、合点がいった。
今、この部屋に充満している香水の香りとあの時の香りは一緒だ。


「一緒に暮らしてる恋人がいるから無理です、って」


「それで縁談はどうなったの?」


思わず身を乗り出した私に、彼女は小馬鹿にしたように答えた。



「別に変わりませんよ。彼のお父さんが許さんって怒ったし。そんなことも聞いてないの? 呑気ね」


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