極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
しばらく玄関で立ち尽くした後、リビングに戻ってへなへなとソファーにへたり込む。
時間にしてわずか十分ほどの嵐は私をどっと疲れさせた。


彼女にしてみれば、この縁談を逃せば、次はどんな男をあてがわれるかわからないのだ。


恋もできずに結婚するなんて……。


彼女の心中を思うと、本物ではない自分の演技が申し訳なく、切なくもなった。


ほとんど手をつけていない二つのカップをぼんやりと眺める。

同棲を持ちかけてきた時の彼の冷静な説明を思う。
女と男は違う。
会社の経営者になる身としてずっと研鑽してきた彼は、結婚に恋も愛も求めないのだろう。


だとしても、いつか彼が誰かを──と思うだけで、どうして喪失感が込み上げるのだろう?



 


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