極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
「すごくいい香りです」


凛とした清潔感がありながらほのかに甘さがある香りだ。


これを選ぶとき、彼はどんなことを思ってくれたのだろう。
私に似合うと思ってくれたのだろうか。
そうであって欲しい。


この気持ちは何だろう。
自分は女なのだとどうしようもなく自覚させられる心許なさと喜びは、好きな人の前で裸になる時に似ているのかもしれない。

自分の中に浮かんだ〝好きな人〟という言葉にはっと息を飲む。


「そのぐらいの軽さなら、場所を選ばずつけられるだろう」


「はい。すごく、あの……嬉しいです」


ああ、ダメだ。たったこれだけを言うのに顔が真っ赤になってしまうなんて。


「ご飯、まだですよね。私もまだなので、温めてきます」


揺らいでしまう気持ちも、不器用にしか伝えられない自分も整理できず、私は真っ赤な顔でお土産を胸に抱え、キッチンに逃げ出した。


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