極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
切れ長の目が私の唇に落ち、ゆっくり近づいてくる。
彼の息が唇にかかり、催眠術にかかったように目を閉じた。



でも、何も起こらなかった。


呼吸すら忘れる数秒間のあと、彼の息は遠のき、顎にかかっていた手が外された。
閉じたままの瞼の裏を天井のライトが刺した。


「好きな男以外にキスさせるなよ」


ソファーが揺れて彼が降りたことを悟ると、私はようやく目を開けた。
キッチンで空き缶とお皿を片付ける音がする。


〝男が自分を欲しがってないなんて油断するな〟


でも、そう言う高梨さんは、私を欲しがらないじゃない──。







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