極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
私の態度に違和感を感じたのか、高梨さんが顔を上げてじっと私を見つめた。

昼間、遠くの壇上にあった端正な顔が今は手を伸ばせば届く距離にいる。
今までずっと惹かれるまいと思ってきたのに、一度好きだと認めてしまうと、奈落に落ちてしまうそうになる。

揺れたらダメ、赤くなったらダメ──。


「……飲んでたんだな」


彼はしばらく私を見つめた後、それだけ言って視線をパソコンに戻した。


頬の赤みはお酒のせいだけじゃない。
本当は分かってるんじゃないの?
たくさんの女性を惹きつける完璧なあなたなら、私の〝御曹司嫌い〟が見せかけだって、気づいてるんじゃないの?
心に決めた人がいるなら、免疫のない女を気まぐれに揺らさないで。

肩透かしをくらって拗ねる駄々っ子のように、突っかかりたくなった。


< 192 / 365 >

この作品をシェア

pagetop