極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
高梨室長のページを閉じてからHPを適当にタップしていた私は、閉じようとした手をふと止めた。
研究部門のホープの紹介記事だ。


それは長谷川麻里子さんという若手の女性社員で、現在はアメリカの研究所に派遣されているという。
ノーベル科学賞受賞者を輩出したこともある名門の研究所だ。

記事に添えてある小さな写真には、数人の外国人の仲間とともに若い日本人女性が笑顔で収まっていた。
顔を見ようと画面を拡大したけれど、画像が粗くてよく見えない。
でも、とても綺麗な人のようだった。


「すごいなぁ……」


リケジョのてっぺんと底辺。
思わず小さく呟いた。

この若さで、頂点の天才たちと肩を並べて活躍しているなんて。
しかも優れた容姿まで授かっているなんて、神様は不公平だ。


私がいる技術部門と彼女がいる研究部門は似ているようで、その位置づけは大きく異なる。
会社の売上を支えるのが技術、それとはまったく別に、潤沢な予算を与えられて最先端のテクノロジーを追求するのが研究部門だ。

極端に言えば、稼ぐ部門と使う部門、という例えになるだろうか。
なのに給与体系はあちらの方が評価が高いのだから、働きアリには何とも切ない現実だ。


< 20 / 365 >

この作品をシェア

pagetop