極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
「寒くないか?」


タオルの中で、黙って頷く。
私は彼に迷惑をかけてばかりだ。


「泣くな」


彼はこんなに紳士なのに。
なのに、身の程知らずの恋心を抱いてしまった私は空回ってばかりだ。


「ごめんなさい……」


諦めたいのに……。
素敵な女性になって、彼の元から去りたいのに、そのどちらも私にはできない。


「泣くなよ」


彼がなだめるように呟いた。
タオルの中から彼を見上げる。


このまま時間が止まってくれたらいい。
恋人になれなくても、一番近い距離で彼を見つめていられる今のまま、時間が止まってくれたらいい。


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