極甘同居～クールな御曹司に独占されました～
「あの……三和テックとの縁談はどうなりましたか？」


高梨さんはすぐに答えてくれなかった。
しばらく考え込んだあと、溜息を一つついてネクタイを緩めた。


「話はそのことか？」


「実は、一か月ぐらい前、和久井梨乃さんがここを訪ねて来られたんです。高梨さんがアメリカ出張に行っている時です」


私のカミングアウトに、彼はかなり驚いたようだった。


「何か嫌なことを言われたんじゃないのか？　彼女はそのために来たんだろう」


「いえ、特に。本当に同棲しているのか確かめに来られただけで、すぐに帰られました」


「悪かった。ここまで来るとはな……」


高梨さんは困り果てた表情でソファーにもたれた。


「その時の雰囲気では、彼女はもう半分諦めているように見えたんです。あれから一か月経ちました。どうなっているんでしょうか」


「……まだ何とも言えない。お嬢様本人の意志だけで決まることではないしな」


質問を重ねても、彼ははっきりした返事をくれない。
出鼻を挫かれた私は次の言葉を継ぐ前に俯いて、揺らぐ心を立て直した。



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