極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
「本当の理由は?」


「……」


「教えてくれ」


彼が私に白羽の矢を立てたのは、御曹司嫌いの私なら恋愛感情を持たないという前提があったから。
だったら、好きだと言えば解放してくれる?


「私はもう、適役じゃないんです。だって……」


ダメ、言っちゃダメ。
疎まれずにお別れしたいのに、こんなはずじゃなかったのに──。



「好きになっちゃったからです」


ずっと私の胸の中で育ってきたその言葉は、開く時を待っていた蕾のように、一度零れると止められなかった。


「高梨さんを好きになってしまったから、私はもう適役じゃないんです。ごめんなさい……」


彼がどんな顔で聞いているのか、溢れる涙で見えなかった。
返事を聞くのが怖くて訴え続ける。


「だから、私を解放してください」


「駄目だ」


彼の声が聞こえたと思った次の瞬間、何も見えない視界が揺れ、私は力強い腕に抱き締められていた。




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