極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
しばらく茫然と考える。

私には後朝の経験というものがない。
過去の最低な恋人とのわずかな回数の経験では、いずれも彼は私の部屋に泊らず、さっさと帰っていった。


今から思うと明らかに遊ばれていたのに、なぜ愛されていると思い込もうとしていたのか、自分が愚かに思えて仕方がない。


でもその状況は今も同じだ。
高梨さんは私を置き去りにしてどこに行ってしまったのだろう?


もしかして、やっぱり彼を幻滅させてしまったのだろうか。
昨夜、私はあんなに幸せだったのに……。

でも、彼は慣れない私をかなり気遣ってくれていたと思う。


考えたくはないけれど様々なことが浮かんできて視界がじわじわと滲んできた時、私は家の中で物音がするのに気づいた。
それはキッチンから聞こえてくる。


やがて食器のこすれる音と共に、寝室のドアが開いた。


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