極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
「中島さん」


朝、お迎えの車に乗り込むと、私は少しもじもじしながら紙袋を差し出した。


「あの、差し入れです」


「えっ? 僕にですか?」


「パンを焼いたんです。昨日仕込んでおいて、今朝焼き上げました。ちょっと不細工なんですけど、よかったらお昼にどうぞ」


軽井沢で食べたパンがとても美味しくて、高梨さんも絶賛したので、以来私はパン作りにトライしている。
数回の試行を経て、最近はコツを掴めてきたところだ。

朝が苦手な高梨さんも手作りのパンの日は食が進むので、私が早く帰宅できる日はなるべくパンの下準備をするようになった。


ところが今朝は彼が出張で普段より早く家を出たので、せっかくのパンが間に合わず、そのままそっくり余ってしまった。
高梨さんはこれから三日間の予定で大阪だ。
そこで中島さんを思い出したのだった。


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