極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
「なあ、柚希」


しばらくコーヒーのマグを持ったまま考え込んでいた彼が言った。


「俺、しばらくリビングで寝るよ」


お皿を片付けていた私の手が一瞬止まり、また動き始める。


「柚希も仕事が忙しいのに、俺のせいで負担をかけてる。夜中、起こしてしまうだろ? 当分、俺の食事は不規則だし、しばらくは適当に自分でやるから、お前はちゃんと寝てくれ」


彼があまりに遅い時は食事にラップをかけて先に休むことにしているけれど、深夜に彼が一人で食事を温めたり片付けたりするのが気になり、彼が帰宅する音を聞くと、つい私も起きだしてキッチンに行ってしまう。
そうでなくても、ベッドに彼が入ってきた時は、必ず「おかえり」と寄り添って、ささやかな温もりを感じていた。


でも、それは〝彼のために尽くしている〟という、私の自己満足だったのかもしれない。
彼に負担をかけていることに気づかなかった度量の狭さに、自己嫌悪の念が込み上げてくる。


でも、たった五分でもいいから、彼と一緒にいたいだけだった。



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