極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
当日、〝成田に到着〟という彼からのメールを受けると、私はいそいそと仕事を片付けて退社した。
幸い今日は製造ラインのトラブルもなく、職場のみんなは早々に退社する雰囲気だ。


「今日はいつもより早いですね」


車に乗り込むと、中島さんが話しかけてくる。
きっと私の浮き足立った気分はお見通しだろう。
私は正直に白状した。


「今日、高梨さんが帰って来るんです」


色々不安はあっても、やっぱり嬉しくてたまらない。
うふふ、と思わず笑いを漏らしてしまう私に、バックミラー越しの目も笑っている。


「じゃあ今日の献立は力が入りますね」


「いいえ。いつも通りです。ニューヨークのグルメには勝てないから」


「彼にはそれがいいんですよ、いつも通りが」


「だといいなあ」


中島さんはさらに心強いフォローで私に自信をつけてくれた。


「この間のパン、すごく美味しかったですよ。あれは売れるレベルです」


「本当ですか?」


じゃあ調子に乗ってパンも焼いてしまおうか。

あれからいろいろ研究して、一次発酵させたパン生地を冷凍する保存方法を覚えたので、食べたい時に必要な量を焼けるようになった。



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