極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
「でも今回は大きな業務提携が絡んだ縁談だったから、さすがに無理だと思ったの。三和テックが破談になったのは彼から聞いてるでしょう?」


「……はい」


私は彼から聞かされていない。


「ここのところ、彼は大変だったと思うわ。三和テックを敵に回しちゃったんだものね。銀行に手を回されて、来年の大型設備投資を前に、融資が危うくなったのよ」


それで彼はあんなに帰りが遅く、いつも考え込んでいたのだ。

そんな大事なことを何も知らずにいたなんて。
自分が寂しいことだけでいっぱいだった気がする。
彼が敢えて私に言わなかったのは、私がそれに足るレベルになかったからなのかもしれない。


あらゆる点で、私は彼の隣に失格だ。

長谷川さんと高梨さんの過去よりも、佐々木先輩の恋人が再び恋敵としてれ現れた目の前の現実よりも、それが一番ショックだった。




< 301 / 365 >

この作品をシェア

pagetop