極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
「彼もようやく自由になれて嬉しそうだった。パーティーでの挨拶は本当に素敵だったわよ」


私の届かない、煌びやかな世界。
早く一人になりたい。
立て続けに投下されるショッキングな事実に、頭を整理する暇も自分を立て直す暇もない。


「この部屋、懐かしいわ。あら、軽井沢のワインね」


嬉しそうに部屋を見回していた長谷川さんはサイドボードに置いたワインを笑顔で指さした。
軽井沢には、以前に彼女とも訪れていたということだろうか。

それは限界を迎えていた私にはとどめの一撃だった。

彼と彼女の積み重ねた時間に、到底私は届かない──。


「長居しちゃ申し訳ないわね。お礼を伝えたかっただけなの。もうおいとまするわね」


これ以上は耐えられないと思った時、ようやく彼女が腰を上げた。




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