極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
長谷川さんが去った玄関でしばらく立ち尽くしたあと、私は寝室に入り、クローゼットからキャリーバッグとすべての衣類を出した。


それから洗面所に行き、歯ブラシや自分の使っていたバス用品をスーパーの袋に入れていく。


ここにはいずれ長谷川さんが住むことになるのだろう。
自分がいた痕跡はできるだけ消したかった。
気遣いというより、私のことを話題にされることが苦痛だった。


洗面台の隅には、彼から貰った香水が飾ってある。
あまりに大切で箱が捨てられず、私が毎日使う度に元通り箱に仕舞っているのを、彼が笑っていたっけ。

泣きそうになるのをこらえ、私はその箱をしっかり胸に抱いて洗面所を出た。


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