極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
朝、私と高梨さんの甘いまどろみに電話の着信音が割り込んできた。


「鳴ってますよ」


「……出たくないな」


高梨さんはだるそうにぼやいて、私の胸に顔を埋めた。


「子供みたいなこと言って」


一応たしなめるけれど、こんな彼も可愛いなと、実は結構好きだったりする。


「会社からかもしれないですよ」


「そうだな……」


なかなか鳴りやまないスマホを掴み、画面を見た高梨さんは顔をしかめた。


「母親からだ」


それを聞いた私の背筋は、寝たままシャキッと伸びた。


「ああ……おはよう」


戦々恐々と話の成り行きを見守る。
何の用件かわからないけれど、私に影響のない事柄であることを祈る。

しかしその期待は鮮やかに裏切られた。


「え、今日? いや、そんな急に言われても、まだ本人に──」


高梨さんは顔からスマホを離して画面を眺め、「切れた」と呟いた。






< 344 / 365 >

この作品をシェア

pagetop