極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
過去への嫌悪感のせいか、それともお酒に強くもないのに空っぽの胃でハイボールを飲んだせいなのか、私の口はいつもより辛辣になってしまったのかもしれない。
「若くして室長って言ったって、社長の息子でしょ? 実力かどうかはわからないわよ」
その時、右側から「お勘定お願いします」と声が聞こえ、同時になぜか隣で有香がはっと息を飲むのがわかった。
男性の声は低く、それでいてベルベットのようになめらかだ。
色香を感じさせる声と言うのだろうか。
つい顔が見たくなる。
イケメンが嫌いだと口では言いながら興味をそそられてしまう、口先だけの自分が情けない。
私はもう分不相応な夢なんか見ないと決めている。
隣のイケメン声は頭から追いやり、自論に戻った。
「今の時代に世襲制ってどうなんだろうね。地道に努力して、何年もかかってやっと係長になる社員たちの士気に関わると思う」
最近になるまで、うちの社が世襲制だとは知らなかった。
先代は男子に恵まれず、社長が見込んだエリートに娘を嫁入りさせ後継者としたため、社長の苗字が変わったせいだ。
実際には創業者の血筋が保たれ、一族の院政が会社の経営判断を左右しているという。
「若くして室長って言ったって、社長の息子でしょ? 実力かどうかはわからないわよ」
その時、右側から「お勘定お願いします」と声が聞こえ、同時になぜか隣で有香がはっと息を飲むのがわかった。
男性の声は低く、それでいてベルベットのようになめらかだ。
色香を感じさせる声と言うのだろうか。
つい顔が見たくなる。
イケメンが嫌いだと口では言いながら興味をそそられてしまう、口先だけの自分が情けない。
私はもう分不相応な夢なんか見ないと決めている。
隣のイケメン声は頭から追いやり、自論に戻った。
「今の時代に世襲制ってどうなんだろうね。地道に努力して、何年もかかってやっと係長になる社員たちの士気に関わると思う」
最近になるまで、うちの社が世襲制だとは知らなかった。
先代は男子に恵まれず、社長が見込んだエリートに娘を嫁入りさせ後継者としたため、社長の苗字が変わったせいだ。
実際には創業者の血筋が保たれ、一族の院政が会社の経営判断を左右しているという。