極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
それにしても、私が喋っている間中、カウンターの下で有香が脛を蹴ってくるのは何故だろう?
有香は無言で、顔を背けるように私とは反対側を向いている。


「まあとにかく、イケメンで御曹司と条件が揃えば、女遊びが激しくて金遣いが荒いろくでなしの可能性大よね」


先ほどより大きな一発を脛に食らい、ついに私は有香に抗議した。


「さっきから何で蹴るの?」


その時、右側からあのなめらかな声がかけられた。


「お話中にすみません」


有香に抗議するのをやめ、振り向いた私は、不覚にも彼の容貌に見とれてしまった。

会計を終えた彼はもう帰るところらしく、既に立ち上がっている。
身長は百八十センチをゆうに超えているだろう。
座って見上げている私の首が痛くなるほどすらりと背が高い。

涼やかで上品な微笑み、知性を感じさせる切れ長の目。
まさに王子そのものだった。



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