極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
形ばかりの同棲
「柚希!」


蕎麦屋に入ると、奥の席で有香が伸び上ってこちらに大きく手を振った。
今日は私の品川本社の日で、有香との定例会だ。
有香が張り切っているのは、高梨さんとの〝同棲〟について、詳細を聞きたくてウズウズしているからに他ならない。


結局、あれから私は高梨さんの提案に乗り、同棲生活を始めている。


決めるまでは早かった。
高梨さんが訪ねてきた翌日、前日に続き深夜になった帰り路で、今度は高梨さんではなく本物の変質者に遭遇した。恐怖のあまり上げた悲鳴で変質者は逃げたものの、その場に立ちすくんだまま動けなくなってしまった私が咄嗟に電話したのは、どういうわけか警察ではなく高梨さんだった。

だから迷いも熟考も飛ばし、自然に決まってしまった感じだ。



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