君の記憶の片隅で
ピーンポーン。


隣の家のインターホンを押す。
次第に聞こえる足音。
ドアを開ける音。


全てが今怖い。
胸の高鳴りは不安から。


「はーい。どちらさまでしょうか?」


と言う言葉とともに現れたのは美人な女の人。
彩斗のお母さんだ。


「この前から隣に住まわせてもらっているものです。」


桜が丁寧に挨拶したそのときだった。


「カエちゃん?カエちゃんなの?」


カエとは、彩斗のお母さんしか呼ばないあだ名。
私の名前が楓だから。


「お久しぶりです。おばさん」


「また、あの家に住むのね。嬉しいわ!」


「でも、お母さんたちは今の家の方で、ここに戻ってきたのは私たちだけなんです。」


そう言い、桜、春馬、冬馬と挨拶をし、夜遅いので家に帰ろうとした時、


「久しぶりに会えたのと、カエちゃんの友達とも話してみたいし、ご飯食べて行きなさい。」


と、言われたが、流石に4人はきついんじゃ…
ということで、
春馬と冬馬だけお世話になることになった。


「「お邪魔しました!」」


「春馬と冬馬のことよろしくお願いします!」


「桜ちゃんはしっかりしてるわね。任せなさい。」


私は「またきますね?」とだけ言い
家に帰った。


やっぱり心配。
彩斗のお母さん、変なこと聞かないでよ…
春馬なんて、なんでも答えちゃうんだから。


「今日の夜ご飯は、2人いないし、ハンバーグにしようか?」


「それいいね!」


私は桜の案に賛成すると、
私にケータイにメールが届い


「春馬?えーっと、『今日の晩飯はハンバーグだって!嬉しい!』って被っちゃった。」


「あちゃー。まぁいいんじゃない?あっちはあっち、こっちはこっち!」


「そだね!それじゃあ頑張って作ろう!」


こうしてハンバーグ作りを私たちは開始した。
やっぱり、私の予感は的中するみたいで…


「ん?今度は冬馬からメールが『楓。ごめん。詳しくは家に帰ってから話す』どう言うことだろう?」


何かやらかしたのかな?
特に春馬あたりが、彩斗に迷惑かけてないといいけど。


「ってあれ?続きあった。」


「へ?どう言うこと?」


無言で聞いていた桜までもが動揺。


「えーっと、『P.S 先輩が楓を思い出せない。写真が一枚しかなかった理由がわかったよ!』だって。どう言うことなんだろう。」


「わからなかったの?つまり、冬馬たちが何か聞き出したってことでしょ?」


そう言うこと。先輩のことになるとやっぱり、不安と何かが押し寄せて怖い。


「ハンバーグできたよー!楓ー?ご飯よそって!」


けど、そういう不安こそ、ネガティヴの原因になるから、
プラス思考で行こうかな。


「ありがとう。桜…」


「ん?どういたして?」


桜が微笑むと周りが明るく見える。
楽しい。そういう気持ちにしてくれる。
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