いのち 〜あなたの"大切"はなんですか〜
それから、二ヶ月ほど経ったある日。春はまたその道をきちんと通ることにした。
するとそこには、高校生くらいの青年がいて、猫を撫でていた。ゆっくり、ゆっくり、猫の背中を撫でていた。撫でていた猫は片目のない猫だった。でも、もう傷だらけではなくて、その青年にはとても可愛い声でないていた。
彼は小さい声で、
「大丈夫、大丈夫。」と、猫を励ますように呟きながら、猫を撫でていた。
春は何かあたたかいものを感じた。けれど、彼は制服を着ているわけでもなく、部屋着のような寝衣のようなものを着ていた。春は家に帰ることにした。
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