そしてあなたと風になる
ライバル
"昨日の俺はどうかしていた"
一緒にベッドに横たわり、
まひるが男性を知らないとわかってからも、まひるを求める気持ちを止めることができなかった。
結果として、まひるを抱いた。
"まひるが好きだ"
どうしようもなく溢れてくる気持ちを言葉にすることが出来ず、その気持ちをまひるの身体にぶつけてしまった。
"優しくしたと思う。でも、まひるは俺のことをどう思っただろうか?"
朝目覚めたときのまひるは、千尋の隣で穏やかに寝息をたてていた。
そっと抱き締める腕に力を込める。
「おはよう。千尋さん」
ゆっくりと瞼を開いたまひるが笑顔を向けてきた。
"可愛い"
千尋は、まひるの唇に啄むキスをした。
まひるはそれを受け止めると
「朝ごはん作りますね。」
とベッドを離れていった。
昨日と変わらない穏やかな笑顔。
これで、俺のものになったのか,,,?
無口な千尋は、言葉が足りない自覚はあるが、具体的に何をすればよいかわかりかねていた。
まひるが自分を受け入れてくれた、それが返事と思いたい。
千尋は、もう一度シャワーを借りて、まひると朝食をとった。
タクシーを呼んで、一旦自宅に戻ってから会社に行く、とまひるに告げると
「私も今日から会社に籠ります。しばらくは忙しいかも」
と言った。
次の約束はしない。
千尋は、今回のプロジョクトがある限り、まひると仕事で会えるのは簡単だろうと鷹をくくっていたのだ。
まひるが遠く離れていこうとしているとも知らずに。